灯螂舎の昆虫入り焼菓子には原則として粉末やペースト状の昆虫材料(※)を使用し、“見た目に虫を感じさせない”ことを共通のテーマとしております。
これは昆虫の持つ「外見上の特徴(脚や触角など)への抵抗」という先入観にとらわれず、実際に口にしてみて初めて分かる美味しさや種類による味の違いをフラットに楽しんでいただく上でとても重要なポイントだと考えています。
(※)一部、食感や風味を優先し敢えて姿を残したままの原料を使用する商品もございます。
また、「昆虫入り」であることだけを売りにするのではなく、スパイスやハーブ・お酒などを組み合わせた“好奇心を掻き立てる味の組み合わせ”に重心をおくことで、「昆虫食だから」と身構えすぎることなく、日常のおやつとして手軽に取り入れていただけるように工夫しています。
*昆虫材料を使用しない“ふつうの焼菓子”もございます。(昆虫材料不使用の焼菓子はこちら)
店主はここ数年間で、野生から養殖まで様々な種類の昆虫を味わってきた経験から、昆虫は(その種類や調理法によっては)肉や魚・野菜といった他の食材と同じ土俵に上がれるだけのポテンシャルのある立派な食材のひとつだと確信しております。
かといって、「一人でも多くの人が昆虫を食べる“べき”」「昆虫食を広く一般に“普及させたい”」とは考えていません。肉や魚を食べる・食べないの選択の自由が一人一人にあるように、食べたい人が昆虫を食べる自由も(もちろん食べたくない人が食べない自由も)否定されるべきではない、という思いが灯螂舎の根源だからです。
「美味しい」と思うかどうかは個人の主観ですし、生理的嫌悪感からそもそも昆虫を食材として認識できない人も少なくありません。単純な味の好みの問題も勿論あります。(私自身、クモやカメムシは正直得意ではないです。)
ですが、このように味の好き嫌いを語る以前の問題として、まず「おいしい昆虫」というものを食べてみたい!と思っても入手できる場所や種類が限られている上、“昆虫食”に対する世間のイメージも手伝って「はじめの一歩」すら踏み出しづらい状況にあると思います。
灯螂舎は、そうした“食材としての昆虫”に興味を抱き始めた皆さんの「はじめの一歩を踏み出すお手伝い」ができればという思いから、どなたにも召し上がっていただきやすい焼菓子を通じて、食用昆虫の魅力をお届けしていきます。
※繰り返しになりますが、昆虫が“人を選ぶ食材”であることは確かです。灯螂舎はあくまでも「食べたい人が、食べたい時に、自由に昆虫食品を選択できる自由」を理想としていますので、無理をして昆虫入り商品を購入する(させる)ことや、昆虫に抵抗感のある方に無理やり勧める行為も推奨しておりません。
さらにはアレルギーの問題もあります(昆虫とエビ・カニ等の甲殻類は非常に近縁の生物です)ので、お土産や話題づくりの為に購入・配布される場合は、必ず相手の方に「昆虫を使用していること」を知らせ、「甲殻類のアレルギーがないこと」を確認した上で楽しく召し上がっていただきますようお願い申し上げます。
近年の昆虫食ブームによってその存在を少しずつ見直されてきているものの、メディア等で話題に上がる際は“高い栄養価”や“生産時の環境負荷の低さ”といった「数値上のメリット」ばかりが取り沙汰されがちです。
それらの要素も注目されるべき部分ではありますが、昆虫を食すことの真の魅力はそうした“数値”以外の部分、千差万別の味や食感・自分好みを見つける楽しさにこそあると考えています。(ここ日本でも、一部の地域ではイナゴや蜂の子・テッポウムシやざざ虫などが“肉や魚の代わり”としてではなく、それとはまた別に「季節のご馳走」として自然に食べられてきたことがその真価を物語っていると思います。)
たとえばスーパーで食材を購入する際、鶏肉や豚肉の産地を気にしたり、果物の品種を見比べて好みに合う方をカゴに入れる、という行動は誰もが自然に行うものだと思いますが、この行動は「産地によって味や食感が異なる」「品種によって甘味や酸味の出方が違う」という知識(常識)の下に行われているはずです。
それは昆虫も同様で、どの種類もそれぞれの個性を持ち、育った環境・与えられた飼料などによっても味の違いが如実に現れます。
この前提を理解した上で各々の昆虫に合った食材や調理法を組み合わせることにより、昆虫はそれを使用した料理やお菓子の味の奥行きを何倍にも広げてくれます。
現状、食用として日本に流通している昆虫の種類はまだそれほど多くありませんが、無理のない範囲で手に入るものを少しずつ取り入れながら、常に“素材の魅力を生かしたおいしさ”のアップデートを続けてまいります。
昆虫の使用如何を問わず、どれを食べても“美味しい”と感じていただける味の組み合わせ・材料の配合を考えながら、一つ一つ手作りで製造しています。
※全ての工程を手作業で行っております。形が少々歪なもの、焼き目がしっかりついたもの、多少のヒビやカケがあるもの等、味に大きな影響がない限りそのまま商品化しております。ご注文の際はその点ご了承の上でお買い求めください。
全てのベースとなる「全粒粉のバターサブレ(プレーンサブレ)」の生地を基に、ヨーロッパイエコオロギ・フタホシコオロギ・カイコ・蚕沙などの昆虫食材を組み合わせたシンプルな昆虫入りサブレ「基本のサブレ」シリーズを展開しています。
これらはどれも「素材(昆虫)の味の違いを感じていただくこと」を目的としているため、ベース生地に使用する素材は必要最小限(小麦粉・卵・きび砂糖・バター・アーモンドパウダー・食塩)に抑えております。各昆虫の個性を存分にお楽しみください。
※そのものの味を知っていただくため、昆虫入りの「基本のサブレ」シリーズは他の焼菓子よりも昆虫自体の味を感じやすい仕上がりとなっております。特に風味に特徴のある「フタホシコオロギ」のサブレは人によって好みがはっきりと分かれる部分がありますので、ご購入の際はご留意の上でお召し上がりください。
上記「基本のサブレ」にアレンジを加えたラインです。
ごまやスパイス類(キャラウェイ・クミンとコリアンダー・八角・フェンネル)などを用いてベースの味に変化をつけ、昆虫の個性をほどよく包み込んだ変わりサブレとディアマンクッキーは“意識しければ昆虫の存在をほとんど感じない”ことが特徴です。単品買いはもちろん、「基本のサブレ」との食べ比べにもおすすめです。
おいもサブレ等、昆虫を使用していない変わりサブレもございます。
シナモンやジンジャー、マサラチャイ、唐辛子、山椒などスパイスを使用した堅焼きクッキーのラインです。
昆虫不使用タイプがラインナップの多くを占めますが、「スペキュロス(スパイスクッキー)」についてはヨーロッパイエコオロギのパウダーの含有率8%と、灯螂舎の全商品の中でも最も高い割合で配合しております。
スパイス好きに贈る、大人向けの味わいをお楽しみください。
“そのままでは硬く食べづらいため、コーヒーに浸しながら食べるもの”というイメージのあるビスコッティですが、灯螂舎ではフレーバーや具材を多様化し、硬さも控えめにすることで「おやつとしてそのままでも気軽に食べられる」ビスコッティを目指しました。
全年齢の方が安心して食べられるココアベースやナッツ・レーズンを使用したのものから、カルダモンやコーヒーなど少し攻めたフレーバーまで、昆虫使用の有無を問わず幅広いバリエーションをお楽しみいただけるラインです。
バターとアーモンドプードルをふんだんに使用したリッチなパウンドケーキから、野菜や果実・植物油ベースのヘルシーなケーキ、チーズケーキ、世界のローカル焼菓子なども含まれます。
当店では定番のピスタチオパウンドやバナナケーキ・ベイクドチーズケーキ、少し大人向けのラム無花果やスパイスキャロットケーキなどが人気です。
他にも手亡豆と白胡麻の蚕沙ケーキやごぼうガトーショコラ、昆虫不使用のものもございますので、お気に入りの味を探してみてください。
*オンラインショップでお求めいただける大きさはホールサイズのみとなります。
《サイズ・重量》約12〜13cm×5.5〜7cm×4〜7cm/200〜300g(商品により差があります)
※ケーキ類に関しては、オンラインショップでは完全受注生産となります。
※店頭には毎週1〜2種類ほどのケーキ(1/4カットサイズ)が気まぐれに並びます。在庫のない週もありますので、希望の商品がある場合は事前にお問い合わせいただいた方が確実です。